CRガス (ジベンゾ-1,4-オキサゼピン、dibenzoxazepine)は、催涙ガスの一種である[1]。1950年代後期~1960年代初期にかけて、暴動鎮圧剤としてイギリス国防省により開発された。

CRガス
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識別情報
CAS登録番号 257-07-8 チェック
PubChem 9213
ChemSpider 8858 チェック
UNII C1Q77A87V1 チェック
ChEMBL CHEMBL1085100 チェック
6472
特性
化学式 C13H9NO
モル質量 195.22 g mol−1
外観 淡黄色の結晶
密度 1.160±0.10 g/cm3
融点

73 °C, 346 K, 163 °F

特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

コショウ様の臭気を持つ淡黄色の結晶性の固体で、水には難溶[1]。催涙ガスとして用いるには、プロピレングリコール懸濁させた液体として使用する。自然環境下では分解されにくい。

CRガスは、冷受容体のTRPA1を刺激する(この受容体は、ワサビ芥子辛みにも関係している)。この作用はCSガスの10倍にも達する。CRガスが皮膚に触れると痛みが生じ、吸引すると眼瞼痙攣失明状態、、息切れからパニックを引き起こす。

大量に接触すると死に至る危険性があり(1980年代に南アフリカで黒人暴動鎮圧に用いられた際に死者が出た例がある)、発癌性の可能性が指摘されたことから、現在イギリスやアメリカでは暴徒鎮圧用としては用いられておらず、CNガスに取って代わられた。

脚注

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