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国鉄キハ183系気動車

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国鉄キハ183系気動車
「おおぞら」 (1986年 札幌駅)
「おおぞら」 (1986年 札幌駅)
「おおぞら」 (1986年 札幌駅)
最高速度 100km/h
最大寸法
(長/幅/高)
21,300mm×2,903mm×4,090mm
質量 46.0t
定員 40(席)
機関出力 DMF15HSA (220PS/1,600rpm)
駆動方式 液体式
変速段 変速1段・直結1段
(DW10)
台車形式 DT47A/TR233A
ブレーキ方式 電磁自動空気ブレーキ (CLE)
保安装置 ATS-S
備考 キハ183形0番台(新製時)

気動車用テンプレートTemplate(ノート)

国鉄キハ183系気動車(こくてつキハ183けいきどうしゃ)[1]とは、日本国有鉄道(国鉄)が開発し、現在は北海道旅客鉄道(JR北海道)、九州旅客鉄道(JR九州)が保有する特急形気動車である。

概要

従来の特急形気動車の仕様を再検討し、諸設備の機能向上と耐寒耐雪機能に留意した北海道専用車両として開発された系列である。

北海道内各系統の特急列車1961年以来キハ80系気動車を使用してきた。同系列は「北斗」「おおぞら」「おおとり」などの道内特急列車網を確立し長期にわたって使用されてきたが、1975年頃から接客設備の陳腐化と酷寒地運用ゆえの故障多発・損耗が顕在化し、取替えが喫緊の課題とされた[2]。後継車両の計画に際しては北海道内での使用に留意し、厳しい気象条件に適合した「雪と寒さに強い」特急形気動車として開発が進められ、1979年にキハ183系先行試作車が完成した。1980年から1年半の試用の後、1981年10月から量産車の使用を開始した。

1986年11月の国鉄最後のダイヤ改正で、各部の大規模な設計変更がなされた500番台(N183系)が投入され、キハ80系を完全に淘汰した。JR移行後の1988年には走行性能の向上に留意した550番台(NN183系)を投入し、道内特急列車の高速化と設備水準向上を実現した。

2001年から経年の進んだ車両が順次淘汰されつつあるが、使用路線の実情を考慮した仕様変更や改造も多数なされ、現在に至るまで道内各路線の特急列車に使用されている。

本系列では基本設計を共通とするイベント用列車(ジョイフルトレイン)や、JR九州仕様(1000番台)についても記述する。

構造

※ここでは初期車(基本番台)について記述し、製作時期による変更点については各節で記述する。

車体

同時期に試作された781系電車の仕様を踏襲した耐寒耐雪設備を有し、客室窓の天地寸法は本州以南向け特急形車両に比べ小さい。客用扉は各車とも片側1か所に片開きのものを設ける。

列車の分割併合を前提とせず、先頭車は特急形電車同様の高運転台式非貫通型で、着雪防止のため、直線と平面で構成され正面中位が前方に突出した「スラント形」と称される独特の前頭部形状をもつ。灯火類は正面下部左右に前照灯標識灯を設けるほか、運転台直上部中央にも2灯の前照灯を設ける。外部塗色はクリーム4号+赤2号の国鉄特急形気動車の標準配色である。

キハ183形・キハ184形は床下に最大4両分の給電能力を有する電源装置を設置し、客室床上に機器室を設ける。

走行装置
 
上:DML30HSI 形エンジン
下:DMF15HSA 形エンジン
キハ183-3のTR233A形台車(2007年10月 札幌駅)

駆動機関として、各車に1基のディーゼル機関を搭載する。発電設備の搭載・非搭載で駆動系の仕様が異なり、2種の系統がある。

発電設備をもつ形式(キハ183形・キハ184形)はキハ40系気動車の駆動系を基本とした直列6気筒機関を搭載し、動力台車は1軸駆動の DT47A 形である。発電設備のない形式(キハ182形・キロ182形)にはキハ66系気動車の駆動系を基本とした大出力の水平対向12気筒機関を搭載し、動力台車は2軸駆動の DT48A 形である。

台車は車体直結式の空気バネ台車で、円筒案内式の軸バネには雪の侵入を防ぐゴム被覆を設ける。動力台車は駆動軸数の異なる DT47A 形・ DT48A 形の2種があり、付随台車は各形式とも TR233A 形である。

※形式毎の駆動系の仕様は下表のとおりである。

形式 機関
(定格出力)
液体変速機 台車 発電装置
キハ183
キハ184
DMF15HSA
(220PS/1,600rpm)
DW10[3] DT47A
TR233A
DMF15HSA-G
DM82 (180kVA)
キハ182
キロ182
DML30HSI
(440PS/1,600rpm)
DW9A[4] DT48A
TR233A
なし


接客設備

普通車座席は2人掛けの回転リクライニングシートで、座席間隔は 940 mm である。グリーン車キロ182形の座席間隔は 1,160 mm である。食堂車は製作されず、キロ182形の車販準備室に簡易調理設備を併設して対応する。

トイレ洗面所はキハ183形・キハ184形[5]以外の全形式に設置し、キハ183形には業務用室、キロ182形には車掌室を設置している。

冷房装置集中式の AU79 形を屋根上に1基搭載し、通風換気は各車の屋根上に2基設置された新鮮外気取入装置によって行う。

増備車での変更点

500番台(N183系)

先頭車のキハ183形は高運転台非貫通構造をやめ、増結・切離しが臨機応変に行える貫通型の前頭部構造とされた。室内空間の 1/3 を占めていた発電装置は小型化して床下に移され、客室空間が拡大した。灯火類は正面中位左右に前照灯を、正面上部左右に保護ガラスで覆われた前照灯・標識灯を設ける。

側窓は天地寸法が 80 mm 拡大され、連続窓風の外観処理がなされる。グリーン車は寝台車並みに天井高さを上げ、床面を嵩上げしたハイデッカー構造を採用、客室窓は眺望を重視し、上部を曲面とした大型ガラスを用いる。新鮮外気取入装置は使用頻度が低いことからキハ183形・キハ182形では装備せず、電動押込み換気扇と従来型の通風器に変更された。外部塗色は地色が白色、橙色と赤色の帯を正面と側面下部に配し、側窓周囲を黒色とした配色に変更された。床下機器・台車は灰色で落成し、後に黒に再塗装された。

座席モケットは、普通車は薄茶色の地にオレンジと黒の帯を配する。グリーン車の座席は緑色となった。内装は明るめの色になり、客室と出入口を仕切る自動ドアは床の段差をなくした光電管式である。仕切ドアの色は先頭車は青色、普通車は黄色、グリーン車は緑色である。

 
上:DML30HSJ 形エンジン
下:DMF13HS 形エンジン
キハ182形(500番台)のTR239形台車
(2007年10月 旭川駅)

駆動系も仕様変更され、大出力の12気筒機関は直噴化された DML30HSJ 形、6気筒機関は新仕様の DMF13HS 形[6]を搭載する。液体変速機はダイナミックブレーキの装備空間を確保するため小型軽量化され、形式は DW12・DW13 に変更された。

台車は積層ゴム支持構造の軸箱装置をもつボルスタレス台車で、動力台車は DT53 形(1軸駆動、6気筒機関用) DT54 形(2軸駆動、12気筒機関用)の2種を駆動系に合わせて装備し、付随台車は各車共通の TR239 形である。将来の速度向上に備えてヨーダンパ(台車の蛇行動防止用ダンパ)が取付可能である。

※形式毎の駆動系の仕様は下表のとおりである。

形式 機関
(定格出力)
液体変速機 台車 発電装置
キハ183
-500
DML30HSJ
(550PS/2,000rpm)
DW12 DT54
TR239
なし
キハ183
-1500
DMF13HS
(250PS/2,000rpm)
DW13 DT53
TR239
DMF13HS-G
DM82A (180kVA)
キハ182
キロ182
DML30HSJ
(550PS/2,000rpm)
DW12 DT54
TR239
なし


550番台(NN183系)

車体構造は500番台とほぼ同様であるが、500番台で非装備であった新鮮外気取入装置を再度屋根上に設置した。これはトンネル通過時の客室内への煤煙侵入防止のためである。外部塗色はN183系を同一の配色であるが、台車・床下機器は当初より黒色である。

駆動機関は6気筒・12気筒とも過給器インタークーラー追設などで出力を増大し、変速機は減速比を変更した DW12A・DW13A を搭載する。台車は基本構造に変更ないが、高速走行のためヨーダンパ・滑走検知装置が追設された。

キハ183形(550番台)のDT53形台車 ヨーダンパを追加装備する
(2007年10月 旭川駅)

ブレーキ装置は従来車と同様の CLE 方式(応荷重式電磁自動空気ブレーキ)を装備し、高速運転に対応するためダイナミックブレーキの準備工事がなされる。これは高速域から踏面ブレーキを使用する場合の踏面への熱影響とフラット防止のため、電子制御によりコンバーターブレーキやエンジンブレーキを併用するものである。 120 km/h 運転開始の際にダイナミックブレーキの本工事を施工され、N183系全車が 120 km/h 運転対応になった。

※形式毎の駆動系の仕様は下表のとおりである。

形式 機関
(定格出力)
液体変速機 台車 発電装置
キハ183
-1550
DMF13HZ
(330PS/2,000rpm)
DW13A DT53
TR239
DMF13HS-G
DM82A (180kVA)
キハ182
-550
DML30HZ
(660PS/2,000rpm)
DW12A DT54
TR239
なし


形式各説

初期車(基本番台・900番台)

量産先行試作車は900番台を付番され、1979年に12両が製作された。

北海道内では長距離列車の運行体系を函館中心から札幌中心に転換する構想が具体化しつつあり、基本編成を7両、必要に応じ中間電源車を含む3両を挿入して最大10両編成とする運用方が採られた。特急気動車としてはキハ181系以来11年ぶりの新形式だったが、保守の省力化と信頼性の確保に鑑み、各部仕様は先行形式で実績のある構造を主軸に採用する方針が採られた[7]

車体側面に非常時脱出用の非常扉を設け、客室窓は冷房故障時換気用の内傾式窓を片側2か所に装備する。機器用のハロン消火装置は 自動/手動の2系統を装備する。台車は DT47・DT48・TR233 の各形式を装備する。量産移行後、仕様を統一する量産化改造がなされて量産車と完全に混用されていたが、老朽や余剰のため2001年9月までに全車が廃車された。

量産車は1981年 - 1983年に4形式合計89両が製作された。車体は非常扉を廃し、[8]内傾式の換気用窓も結露の誘発など問題が多く廃止された。石勝線の長大トンネル対策として、新鮮外気取入装置の性能向上が行なわれ、外気導入ルーバーの形状が大型化された。車端ダンパは最高速度 100 km/h 程度では効果が得られず、量産車では廃止された。座席は配色を変更し、普通車はモケット・肘掛をロームブラウン(濃い茶色)、フレーム部をクリーム色に変更した。

駆動系の変更はないが、台車は軽量化された DT47A・DT48A・TR233A に変更された。消火装置は自動1系統のみに簡略化され、燃料タンクは使用距離を考慮して容量を削減した。1982年の増備車からは循環式汚物処理装置を搭載している。最高速度は 100 km/h とされたが、後に対応工事がなされ 110 km/h 運転を可能としている。

キハ183形
運転台をもつ普通車で、発電装置を収納する機器室を車体前位に設ける。トイレ・洗面所は設けず、定員は40名である。
  • 試作車 (901 - 904)
1979年に4両が製作された。業務用窓は開閉が可能である。正面下部の排障器(スカート)は裾部に折り曲げ加工がなされる。
  • 量産車 (1 - 20)
ファイル:Ok3.jpg
特急「オホーツク」(2004年10月14日 石北本線 安国駅)
国鉄色復元車で運転される快速「ミッドナイト」(2002年9月3日 札幌駅)
1981年から20両が製作された。業務用窓は固定式である。正面下部のスカートは裾部の折り曲げをなくし、簡素な形状である。
キハ182形
編成の中間に組成される、運転台のない普通車である。トイレ・洗面所を設け、定員は68名である。トイレ隣接の床上に水タンクを設ける。
  • 試作車 (901 - 906)
1979年に6両が製作された。
  • 量産車 (1 - 48)
1981年から48両が製作された。妻面と側面腰板部の通風口を大型化している。
キハ184形
運転台のない普通車で、発電装置を収納する機器室を車体後位に設ける。機器室は出入台と客室の間にあり、通路は片側に寄せられる。
  • 試作車 (901)
1979年に1両が製作された。トイレ・洗面所を設け、定員は44名である。
量産車と定員や車体構造が異なり、1985年にグリーン車キロ184形(キロ184-901)に改造された。
  • 量産車 (1 - 11)
1981年から11両が製作された。定員を確保するためトイレ・洗面所を廃し、定員を52名に増加した。機器室は長さを 290 mm 拡大したほか、横の通路配置を変更してデッキ - 機器室間の仕切扉を廃止している。
1985年に4両が運転台取付を行いキハ183形100番台に改造された。
老朽化および余剰により淘汰が進み、残存3両 (2, 7, 8) の2007年度除籍を以って全車が廃車された。
キロ182形
本系列のグリーン車である。室内の一部を供食設備として使用する。
  • 試作車 (901)
1979年に1両が製作された。客用扉は車体の端部に設け、定員は40名である。
量産化改造時に車販準備室を拡大し、仕様を量産車と統一したが、客用扉の移設は行われなかった。2001年に廃車され区分消滅した。
  • 量産車 (1 - 10)
1981年から10両が製作された。供食設備の大幅な拡充が行なわれ、コーヒーメーカー流し台電子レンジ等の調理・厨房用設備および売店が設置された。試作車で車端部にあった出入台は車体中央部寄りに移設され、荷物積込み口が新設された。客室の定員は32名に減少している。座席のモケットは紫系統の配色とされた。
1996年に5両がキロ���182形へ改造、2001年までに4両が廃車され、キロ182-9 の1両のみ残存する。

増備車(N183系・NN183系)

国鉄分割民営化後の北海道会社(→JR北海道)の経営基盤整備を主目的とし、1986年に新潟鐵工所(現・新潟トランシス)および富士重工業で36両が製作された。性能と内装設備の向上および製造コスト低減を図り各部の仕様が変更され、車両番号は500番台、1500番台を付番して区別する。新183系N183系とも称される。

道内特急の短編成化を実施するにあたって基本番台の中間電源車キハ184形の運用方が再検討され、本区分のキハ183形は2種類が製作された。電源機関付きのトイレ・洗面所なしキハ183形1500番台、電源機関をもたず大出力の走行用機関を搭載、トイレ・洗面所つきのキハ183形500番台である。電源装置のないキハ183形500番台はキハ184形との組で運用し、既存の電源装置を活用した。最高速度は 110 km/h とされたが、将来の速度向上に備えて機器類は最高速度 120 km/h に対応した設計とされている。

550番台はJR移行後の1988年3月改正から函館本線で最高速度 120 km/h 運転を行うため、1988年 - 1990年に28両が富士重工業で製作された。NN183系とも称する。キハ183形・キハ182形のみで、グリーン車の製作はない。

500番台車を基本に、高速運転のため機関出力の増強、台車の変更等を行うほか、客室ドアの窓の大型化など客室設備のグレードアップも図られている。

キハ183形
キハ183-1506
(2002年3月 函館駅)
  • 500番台・1500番台 (501 - 507, 1501 - 1507)
N183系の運転台つき普通車である。500番台は電源装置をもたず、大出力機関を装備する。トイレ・洗面所を設け、座席定員は60名である。
1500番台は床下に4両給電可能な電源装置を搭載する。トイレ・洗面所は設けず、座席定員は68名である。
  • 1550番台 (1551 - 1566)
NN183系の運転台つき普通車である。キハ183形1500番台の機器構成を踏襲し、電源装置を床下にもち、トイレ・洗面所は装備しない。座席定員は68名である。
キハ183-1555 以降の車両は運用の便を図り、車両端部のジャンパ栓を正面両側に装備する「両渡り」構造とされたほか、室内の座席種別・号車・禁煙表示の変更、客室仕切ドアのガラスはプライバシーガラスに変更、客室側窓枠の形状変更等細かい仕様変更が見られる。
キハ182形
キハ182-509
(2004年7月 函館駅)
  • 500番台 (501 - 514)
N183系の中間車である。1986年に14両が製作された。トイレ・洗面所を設け、座席定員は68名である。
  • 550番台 (551 - 562)
NN183系の中間車で、1988年 - 1989年に12両が製作された。洗面所の仕様を変更し男子用の小便所を新たに設置したため、床上にあった水タンクを屋根上に移設した。
1988年度製 (555 - ) 以降の車両はキハ183形 (1555 - ) と同一の仕様変更や洗面所・小便所の改良がなされた。


キロ182形 500番台
キロ182-504
(2004年7月 函館運輸所)
1986年に8両 (501 - 508) が製作された。従来車両より床面を 500 mm 嵩上げした高床式構造で、床は通路が一段低く[9]、デッキ部分にかけてスロープを設ける。出入口のステップは2段構造である。側窓は天地寸法 1,000 mm の大型で、上部が屋根肩に達する曲面ガラスである。
座席配置は従来車と同じ 2+2 列の配置である。洗面台は普通車のものとは差別化され、テレホンカード電話機が設置された。冷房装置は車体構造上屋根上に設置できないため、14系寝台車などと同様の集約分散式冷房装置 AU76 形を車端部に2基搭載する。


キサロハ182形
留置中のキサロハ182形
(2005年5月 釧路運輸車両所)
本系列の付随車で、2階建車両である。1991年に4両 (551 - 554) が日立製作所で製作された。2階は3列シートのグリーン室(定員24人)、1階はソファタイプの座席を設けた2人用普通個室(定員10人)である。前位側にトイレと洗面所が、後位側に出入り台と車掌室、床置き式の冷房装置を設置する。
1991年7月に新設された特急「スーパーとかち」に使用された。2001年に札幌 - 釧路間の特急列車がすべてキハ283系に統一されると用途がなくなり、全車が釧路運輸車両所に留置されたまま使用されていない。

JR九州所属車(1000番台)

協調運転する「オランダ村特急」と「有明」 (1990年 小倉駅)
 
「ゆふDX」
上:旧塗色「古代漆色」
(2004年9月 別府駅)
下:新塗色(2008年3月 - )
(2008年4月 亀川駅)

長崎オランダ村」(ハウステンボスのルーツとなったテーマパーク)方面へのアクセス輸送および PR に用いる専用車両として、JR九州が1988年に製作した区分である。電化の有無によらず広汎に使用できるよう気動車として計画され、500番台の主要構造を基本に設計したことから本系列の一区分として付番された。

前頭部は運転台を2階に配し、大型の曲面ガラスを配した展望室をもつ。側窓枠と窓柱を黒色とした連続窓風処理など、車体各部の基本構造は500番台とほぼ同一である。外部塗色は窓上部が赤色、窓周囲が白色、車体下部が青色の「トリコロール塗装」で、青色地の上下に白色の帯を2本配する。

駆動系は500番台の駆動機関・変速機の構成をそのまま踏襲し、電源装置の有無による仕様の相違も同一である。台車も同一の仕様で、搭載機関によって DT53Q (1軸駆動)または DT54Q (2軸駆動)のいずれかを装備し、付随台車は各車共通の TR239Q である。当初よりダイナミックブレーキを装備する。

※形式毎の駆動系の仕様は下表のとおりである。

形式 機関
(定格出力)
液体変速機 台車 発電装置
キハ183
-1000
DML30HSJ
(550PS/2,000rpm)
DW12 DT54Q
TR239Q
なし
キハ182
-1001
DMF13HS
(250PS/2,000rpm)
DW13 DT53Q
TR239Q
DMF13HS-G
DM82A (180kVA)
キハ182
-1002
DML30HSJ
(550PS/2,000rpm)
DW12 DT54Q
TR239Q
なし


本区分は、「オランダ村特急」運行開始当時の運転区間の一部(小倉・門司港 - 鳥栖間)の列車の運転頻度が高く、電車特急に併結する運用形態をとる必要が生じたため、485系電車との協調運転が可能な設計とされた。先頭部の連結器は双頭連結器を装備する。

キハ183形
本区分の先頭車で、1988年に 1001・1002 の2両が製作された。電源装置はもたない。
キハ182形
本区分の中間車で、 1001・1002 の2両が製作された。 1001 は1988年に鹿児島車両所(現・鹿児島総合車両所)でノックダウン生産された車両で、電源装置を床下に装備する。室内の一部にカフェ室・区分室を配する。 1002 は1989年に追加製製作された車両で、電源装置はもたず、大出力の駆動機関を搭載する。室内の一部に子供向け空間「ぷれいらんど」を設ける。

製作直後は「オランダ村特急」で使用されたが、運用区間や使用目的の変更による数度の改装を経て、現在は特急「ゆふDX」として使用されている。転用の詳細は「改造」節を参照されたい。

改造

国鉄時代

試作車の量産化改造
12両の試作車について、運用上の取扱い共通化のため各部仕様を量産車に合わせる改造を1982年(昭和57年) - 1984年(昭和59年)に施工した。
車体は非常窓と非常口を廃止[10]し、普通車は座席モケットを茶色の単色に変更した。[11]
キロ182-901 は車販準備室の拡大・車掌室の客室側への移設などの改造を実施し、座席定員は8名減の32名に変更された。非常扉は完全に撤去され、床や壁も量産タイプに交換された。座席配列は4列シートのまま2001年(平成12年)の廃車まで使用された。
本件による改造にあわせて、循環式汚物処理装置の取付を全車に実施している。
編成短縮対応
  • 先頭車化改造(キハ183形100番台)
1985年3月ダイヤ改正での編成短縮に伴い不足する先頭車を補うため、電源装置付きの中間車キハ184形を先頭車(キハ183形)に改造したものである。運転台は後位に新設された。
運転台は分割併合に対応する貫通型[12]で、在来のキハ183形とは形態が異なり100番台を付番して区別する。改造後の定員は40名で、キハ183形初期車と同一である。トイレ・洗面所は装備しない。
正面貫通扉上部付近の手すりの取付け方は改造施工工場ごとに異なり、五稜郭工場施工車 (101, 103) は縦配置、苗穂工場施工車 (102, 104) は横配置である。
外部塗色は当初、前頭部の正面 - 側面下部を赤2号とするキハ183形基本番台に準じた塗り分けとされたが、短期間で変更され、正面中央に翼状の意匠を配したキハ82形類似の塗り分けとなる。
※キハ184-1・4・3・5→キハ183-101 - 104
:キハ183-103(1998年8月 網走駅)
:キハ183-104(2007年10月 札幌駅)
  • グリーン車化改造(キロ184形900番台)
1985年3月改正ではグリーン車も不足するため、キハ184形試作車 (901) がグリーン車に改造された。
電源用機関を撤去[13]して機器室を車販準備室に改装した。座席はグリーン車用のリクライニングシート[14]に交換され、定員は32名とされた。
走行用機関は種車の DMF15HSA をそのまま使用したが、後に走行用機関と変速機を各々 DMF13HZ (330PS/2,000rpm) ・DW13A に更新した。
1988年に内装更新を行い、座席配置を2+1列に変更して定員24名となった。並行して車販準備室の拡大と車掌室の設置を行い、キロ182形と設備を統一している。
※キハ184-901→キロ184-901
110 km/h 運転対応
1985年6月以降、試作車・基本番台を対象に、最高速度を 100 km/h から 110 km/h に向上するための対応が行われた。機関出力の増強とブレーキの強化が主で、キハ183形・キハ184形では定格出力が 220PS→250PS に、キハ182形・キロ182形では 440PS→500PS に向上された。機関形式の変更はない。ブレーキ装置はブレーキシリンダを強化し、台車周りでは車輪の保守限界の引き上げを実施している。

JR北海道

民営化初期の改造

グリーン車(基本番台)内装更新
N183系の導入により、陳腐化が目立っていたグリーン車キロ182形基本番台の内装更新工事を1987 - 1988年に実施した。
客室内張りや敷物の張り替え、トイレ・洗面所の更新を行ったほか、座席は配置を 2+1 列に変更のうえ各席に液晶ディスプレイを設置した。施工後の定員は24名である。車掌室にはカード式公衆電話が設置された。
※キロ182-1・5・7 - 9、キロ184-901

「北斗」向け改造

  • 130 km/h 運転対応改造(2550・3550番台)
1994年3月ダイヤ改正のキハ281系による特急「スーパー北斗」運転開始に合わせ、本系列を使用する一部の「北斗」で最高速度 130 km/h 運転を実施するための改造である。
ダイナミックブレーキを装備するN183系(キロ182形500番台)NN183系(キハ182形550番台・キハ183形1550番台)を対象にブレーキ装置を強化する改造を行い、ブレーキテコ比変更・ブレーキシリンダーの大型化・圧力の増強、滑走検知装置の各軸方式への変更が実施された。改造実施車はブレーキ圧力が在来車と異なるため、未施工車との混結はできない。
キロ182形は機関にインタークーラーを追加し、NN183系と同等の DML30HZ (660PS/2,000rpm) に変更された。台車にはヨーダンパが追設された。
形式番号は、キハ182形・キハ183形は 原番+2000 、キロ182形は 原番+2050 の付番とされた。
※キハ183-1559・1563 - 1566→キハ183-3559・3563 - 3566
※キハ182-551 - 562→キハ182-2551 - 2562
※キロ182-501 - 503→キロ182-2551 - 2553
:キハ183-3563(2002年3月 函館駅)
:キハ182-2551(2004年3月 苫小牧駅)
:キロ182-2551(2004年3月 苫小牧駅)
  • 従来車混結対応改造(4550番台)
キハ183-4561 正面下部に「130/120」の最高速度表記がある(2004年3月 苫小牧駅)
在来車と共用で予備車を確保するため、キハ183形の一部を 130・120 km/h 両用仕様とする改造を1993年 - 1994年に実施した。ブレーキシリンダー圧力切替弁による自動切替機能を追加し、車号は 原番+3000 を付番した。
※キハ183-1558・3559・1560 - 1562 → キハ183-4558 - 4562
  • グリーン車(500番台)内装更新
キハ281系のグリーン車と設備をあわせるため、「北斗」用のグリーン車キロ182形(500番台)の内装更新を行った。
座席配置は1+2列に変更され、定員は24名に減少した。客室内は完全禁煙とされ、車掌室横の荷物室を撤去して喫煙コーナーが設置された。
対象は 501 - 507 の7両[15]で、501 - 503 は 130 km/h 運転対応を併せて実施し、2551 - 2553 を付番した。
  • 内装更新・塗装変更 (HET183)
上記の 130 km/h 対応改造車を含め「北斗」に使用する本系列全車について、座席やカーテンの取替えなどキハ281系に準じた内外装の改良を行った。
施工車の外部塗色は地色がライトグレー、前頭部とデッキ周囲がコバルトブルー+萌黄色の塗り分けに変更され、客室窓直下にラベンダーパープル+萌黄色の帯を配した。キハ281系の意匠に合わせた配色で、運転台側面には" HET183 Hokkaido Express Train 183 "ロゴマークが配される。
最高速度の識別表記
「北斗」向け 130 km/h 対応改造後は、最高速度の異なる車両を同一編成に混用できなくなった。速度種別を明確にし、列車組成の相違を防ぐため、本系列の全車に最高速度表示が付記された。リゾート用車両は付記の対象外としている。
各車両の正面・妻面下方に最高速度を表記するもので、 130 km/h 対応改造車は「130」、混結対応車(4550番台)[16]は「130/120」を表記した。他の車両は各々の仕様毎に「110」「120」を表記した。[17]

「とかち」「オホーツク」向け改造

  • 車掌室設置改造(キハ183形)
「とかち」(1990年9月 札幌駅)
1990年9月に新設された特急「とかち」ではグリーン車を連結しないため、編成中に車掌室を確保するために実施された改造である。
同列車に運用されるキハ183形(基本番台)の業務用室を車掌室・電話室に改造し、旧業務用室の固定窓は開閉式下降窓に変更された。改造による番号の変更はない。
※キハ183-17 - 20
  • 「スーパーとかち」用グレードアップ
「スーパーとかち」
(1993年 長都駅付近)
1991年7月に新設された特急「スーパーとかち」に対応する改造である。
指定席車として使用する普通車(基本番台)12両の座席を785系電車と同等のバケットシートに交換し、内装材を更新した。外部塗色は同時に製作されたキサロハ182形に合わせ、濃淡グレーにラベンダーパープル+萌黄色の帯を配した意匠に改められた。
当該列車では編成中に付随車キサロハ182形を含むことから、編成全体の機関出力を補うためNN183系(キハ182形550番台)を組成した。NN183系の組込車は外板塗色の変更[18]のみ施工し、内装の更新は行われていなかった。
※キハ182-16・17・19・20 キハ183-7 - 10・17 - 20
※キハ182-553 - 560
  • 「オホーツク」用グレードアップ
1992年3月ダイヤ改正にあわせて特急「オホーツク」用車両の設備更新を行ったものである。
「スーパーとかち」用とは異なり、座席自体の交換は実施せず、モケットのみ交換された。外部塗色は、予備車共通化のため「スーパーとかち」用と同様のものに改められたが、先頭車の塗り分けは若干異なっている。[19]
同列車に組成されるキハ182-561・562、およびキロ182形については外板塗色のみを変更し、内装の更新は実施していない。
※キハ182-41 - 48・561・562
※キハ183-11 - 16・901 - 904
※キロ182-2 - 4・6・10・901
  • 出力増強改造(キハ183形200番台)
 
上:キハ183-214
(2008年3月 函館本線 旭川駅)
下:N-DMF13HZC エンジン
新潟鐵工所(現・新潟原動機)製
(キハ183-215)
夜行特急「オホーツク9・10号」に寝台車スハネフ14形を組成するため、1992年にキハ183形(基本番台)の駆動系増強が行われた。
機関は「ノースレインボーエクスプレス」(5200番台)で採用された DMF13HZC (420PS/2,000rpm) に、変速機は変速1段・直結2段の N-DW14C に交換された。減速機の換装も行われている。ブレーキ装置の仕様は変更されず、最高速度は 110 km/h のままである。番号は原番号に200を加えた付番である。
「北斗」の 130 km/h 運転用にNN183系を転用するため、1993年からは「スーパーとかち」用にも同一の改造が行われた。
※「オホーツク」用:キハ183-11 - 15→キハ183-211 - 215
※「スーパーとかち」用:キハ183-7 - 10・17 - 20→キハ183-207 - 210・217 - 220
  • 出力増強改造(キハ182形200番台)
「北斗」の 130 km/h 運転用にNN183系を転用するため、1993年に「スーパーとかち」用キハ182形(基本番台)の駆動系増強が行われた。
機関は新型の N-DMF18HZ (600PS/2,000rpm) 、変速機は N-DW17 (変速1段・直結3段)に変更した。ブレーキ装置の仕様は変更されず、最高速度は 110 km/h のままである。番号は原番号に200を加えた付番である。
「とかち」系統へのキハ261系1000番台投入で用途がなくなり、2007年度中に全車が廃車された。
※キハ182-24 - 27→キハ182-224 - 227
  • キロハ182形
キロハ182-6
(函館本線 岩見沢駅 2008年3月)
特急「オホーツク」の利用率の低いグリーン車の輸送力適正化と利用の季節波動の大きい普通車の増結の抑制を図り、運用の合理化を図るため、1996年にキロ182形(基本番台)の車販準備室を普通客室に転用したものである。
車販準備室部分の側構体を撤去して新たな窓付きの側構体を取付け、新設した客室内には普通車用リクライニングシート16人分を設置した。屋上の水タンクは撤去され、新鮮気導入装置も車端部に移設された。普通室部分の屋上には、普通室用の空調装置が増設されている。
グリーン室は、座席をキハ281系に準じた 2+1 人掛けのものに交換するとともに、車掌室寄りの1列分を喫煙室に転用した。これにより、グリーン室の定員は21人となっている。喫煙室部分の窓は縦長のものに変更されている。番号は原番号を踏襲し、形式のみ変更した。
この改造で「オホーツク」編成中に車販準備室がなくなるため、次項のとおり札幌方先頭車の業務用室を車販準備室に転用することとなった。
※キロ182-2 - 4・6・10→キロハ182-2 - 4・6・10
  • 車販準備室設置(キハ183形200番台)
キロハ182形への改造に伴い、「オホーツク」編成中の車販準備室を確保するための改造である。
キハ183形の業務用室を車販準備室に改造し、業務用冷蔵庫やコーヒーメーカーの設置が行なわれた。外観は行先表示器が改造前の業務用室部分から隣接する客室部分へ移設された。その後「スーパーとかち」に使用される車両にも同様の改造が行なわれている。改造による番号の変更はない。
※キハ183-211 - 215(オホーツク用)・207 - 210(スーパーとかち用)

「おおぞら」向け改造

  • グレードアップ改造
ファイル:キハ183-501.jpg
キハ183-501
(2005年5月 釧路運輸車両所
1997年3月ダイヤ改正の特急「スーパーおおぞら」運転開始に合わせ、特急「おおぞら」用車両の内外装を更新した。
床敷物・カーテン・仕切戸化粧板を更新し、普通車は座席モケットを張り替え、グリーン車では喫煙コーナーを設置し、座席の液晶ディスプレイを撤去した。一部の車両では座席をキハ283系と同一のものに交換した。
外部塗色は「北斗」系統の車両と同一の「HET183」色に変更されたが、キハ183形のスカートは「北斗」系統の車両と異なり青色である。
(座席交換車)
※キハ182-1 - 5・10・11
※キハ183-1551 - 1554・501・503 - 505
※キロ182-1・5・7
※キロ184-901
※キハ184-2・6 - 8
(モケット張替車)
※キハ182-6 - 8[20]・12 - 15・28・29
※キハ183-101 - 103
  • 回送運転台設置改造(キハ182形100番台)
キハ182-107
(2005年5月 釧路運輸車両所
「おおぞら」系統において弾力的な輸送力調整を行うため、途中駅での分割併合が行えるよう中間車のキハ182形に回送用運転台を新設したものである。
1996年 - 1997年に3両が改造され、施工車は番号に100が加えられた。出入り台を移設して運転台を設置し、客室定員は8人減少して60人となった。
新設された運転台は、回送用とはいえ前照灯や尾灯のみならず列車防護無線装置自動列車停止装置 (ATS-SN) といった保安装置など本線運転が可能な設備を完全に備えたもので、札幌駅 - 札幌運転所間などの回送時にも速度制限を受けることがない。
「とかち」系統へのキハ261系1000番台投入で用途がなくなり、2007年度中に全車が廃車された。
※キハ182-6 - 8→キハ182-106 - 108

宗谷本線系統の改造車

  • キハ400系への組込改造
資材置き場として使用
(2004年7月)
キハ400形気動車を使用する宗谷本線系統の急行列車に組成するため、キハ182形を1997年に改造した。老朽化したお座敷車キロ29形・キロ59形の取替え用としてキハ400形3両をお座敷車に充当するための補充措置である。
ジャンパ連結器をキハ400系の仕様に変更したほか、電源装置を搭載するため客室の一部を機器室に転用し、定員は16人減少して52人となった。外部塗色はキハ400系と同一の濃淡グレー+赤帯とされた。車両番号の変更はない。
急行「宗谷」「サロベツ」「利尻」の指定席車として使用されたが、2000年3月の宗谷本線高速化完成による急行の特急格上げで用途がなくなり、2002年度に全車が廃車された。
※キハ182-36 - 38
  • 特急「サロベツ」・「利尻」用改造
 
特急「サロベツ」
上:稚内駅(2005年5月)
下:琴似駅付近 (2006年7月)
お座敷車を増結する回送列車
2000年3月の高速化完成により、宗谷本線に4往復の特急列車が新設された。2往復の「スーパー宗谷」には新製のキハ261系を使用し、「サロベツ」「利尻」の各1往復に本系列を使用することとなった。
当該列車に使用する編成はキハ261系に準じた内装に改装された。座席は新品に交換され、座席の配色は稚内方から1両ごとに赤・緑・青で統一される。車内の各側窓下に電源コンセントを増設している。指定席として使用する キハ183-1501 - 1503 と キハ182-501 - 503 は座席間隔を従来の 940 mm から 1,040 mm に拡大した。
稚内方先頭車となる キハ183-1501 - 1503 では、デッキ側の座席3列分を撤去してトイレ・洗面所と清涼飲料水自動販売機を設置した。定員は キハ183-1501 - 1503 で68人から48人に、 キハ182-501 - 503 では68人から60人に減少している。
後年、デッキと客室間の自動ドアのタッチセンサー化・貫通扉のオートクローザー機構設置が行われ、指定席用の6両では暖房装置の強化が行なわれている。
※キハ183-1501 - 1504・1555・1556 キハ182-501 - 503

その他の改造

客室窓破損防止改造
2000年頃より冬季の窓ガラス破損事故が多発したため、破損防止のため客室窓にポリカーボネート板を追設する工事を行った。最高速度 120 km/h 以上に対応する N183 系・ NN183 系の全車を対象とし、連続窓構造の外枠を上張りして設置された。
基本番台では側窓にフィルムを貼付する対策を実施したが、ポリカーボネート板の追設工事が順次行われている。
トイレの洋式化改造
お座敷車、および「サロベツ」・「利尻」用改造車では真空式汚物処理装置による洋式トイレへの改造を行ったが、これが好評であったため、2001年から一部の車両について真空式の洋式トイレを設置する改造が行われた。
※キハ182-39 - 48・224 - 227・504 - 513・2551 - 2562
※キハ183-501・503 - 506
※キロ182-504 - 508・2551 - 2553
※キロハ182-2 - 4・6・10
2006年からはトイレ・洗面所の大規模改造が行われている。これはトイレの洋式化とともに、従来の洗面所・隣接する自動消火装置を撤去し、小便所と扉つきの洗面所を新設するもので、洋式トイレと洗面所に赤ちゃんホルダーを、洗面所にはエアータオルと更衣用の踏み台を新たに設置している。
※キハ182-3・11・16・21 - 23・29 - 31

観光・団体・臨時運用への対応

  • 「フラノエクスプレス」増結
キハ80系のリゾート編成「フラノエクスプレス」への増結用車両として、1990年1月からキハ184形1両を使用した。
キハ184-11 の制御回路をキハ80系の仕様に変更し、高さや外板塗色を同編成に合わせる変更を実施した。本車を組成した5両編成で運用されたが、同年中に増結運用を終了し一般の仕様に復元された。
  • 「ちゃいるどさろん」(キハ183形)
客室内の一部をカーペット敷きとした子供向けの遊び場「ちゃいるどさろん」を設ける改造を1995年から実施した。
「おおぞら」に使用する キハ183-3 の前位側20名分の座席を撤去し、カーペット敷きの空間を設けた。1998年には臨時「オホーツク夏休み」号に使用する キハ183-5・6 に同様の改造を行った。
「オホーツク夏休み」用の2両は同列車の運転終了後に一般の座席へ復され、 キハ183-3 は2007年に「旭山動物園号」編成の1両として改造されている。
  • 「ノースレインボーエクスプレス」代用(キハ183形)
1997年2月に根室本線内で踏切事故に遭遇した「ノースレインボーエクスプレス」編成の先頭車 キハ183-5201 を修理復旧するため、一般車のキハ183形を代用とした。
対象車は キハ183-1 で、外部塗装を キハ183-5201 に準じたものに変更している。[21] キハ183-5201 の修理復旧後すぐに「とかち色」に復し、一般の運用に復帰している。
  • お座敷車(6000番台)
 
上:キハ183-6001 外観
(2004年3月 苫小牧駅)
下:キハ183-6001 車内
(2002年3月 特急「北斗」)
JR北海道が従来より使用するお座敷車(急行形気動車改造)は最高速度 95 km/h であり、団体臨時列車での使用時に所要時間が長くなる難点があった。これらに使用する車両を高速化するため、特急形の本系列を1999年に改造したお座敷車両が本区分である。 N183系 から2両、 NN183 系から1両の3両が改造された。
N183 系の2両は走行用機関と変速機を NN183 系と同一仕様に変更し、 130 km/h 運転対応を全車に実施した。 120 km/h 車とのブレーキ切替機能を装備し、他の本系列全車との連結が可能である。青函トンネル通過対策がなされ、同トンネル内を電気機関車牽引により本州に乗り入れることが可能である。外部塗色は側面上部を濃灰色、正面と側面下部を赤色、車体裾部とスカートを金色としている。
団体臨時列車として単独編成で使用するのみならず、閑散期には定期特急列車に併結して使用することも考慮され、団体使用時は床面を完全にフラットにできるが、定期列車併結時には車内販売や乗務員の往来のため中央部に通路を設けることができる構造とし、左右に2人用と4人用の座卓を設置している。それぞれの座卓の下部は深さ 30 cm の掘り炬燵構造としている。定員はキハ183形が団体使用時46人、キハ182形が56人であるが、定期列車併結時には、それぞれ36人・42人となる。
※キハ183-507・キハ182-514・キハ183-1557 → キハ183-6001・キハ182-6001・キハ183-6101
  • 国鉄色復元
国鉄色に復元された キハ183-2(2006年11月 函館運輸所)
臨時用として函館運輸所に配置される本系列の4両について、赤2号+クリーム4号の「国鉄色」への復元を2001年に実施した。次回検査までの一時的な措置とされていたが、検査後も引き続き国鉄色のまま使用されている。
※キハ183-1・2 キハ182-1・2
  • 「旭山動物園号」編成
旭山動物園旭川市)へのアクセス輸送に使用する車両について、内外装の改装工事を2007年に五稜郭車両所で実施した。当初は4両編成で使用を開始し、2008年4月28日以降は「オオカミ号」を追加して5両編成で使用する。
旭山動物園の元飼育係で絵本作家あべ弘士がデザインを手がけ、旭川側から1号車「ホッキョクグマ号」(キハ183-3)、2号車「オオカミ号」、3号車「ライオン号」(キハ182-47)、4号車「チンパンジー号」(キハ182-48)、5号車「ペンギン号」(キハ183-4)と名づけられ、それぞれの動物の親子などの絵が描かれている。
接客設備にも種々の改装がなされる。各車両には動物をかたどった記念撮影用の「ハグハグシート」が設けられた。1号車の キハ183-3 は旧「ちゃいるどさろん」の空間を転用し、カーペット敷きで子供が靴を脱いで遊べる「モグモグコーナー」に改装されたほか、授乳室を備える。車内メロディ童謡『森のくまさん』を用いる。
週末やゴールデンウィーク夏休みなどを中心に臨時特急「旭山動物園号[1]として運行されている。
ファイル:JRH-kiha183-3.jpgファイル:JRH kiha183 Asahiyamadoubutsuen-Express.JPG
:キハ183-3「ホッキョクグマ号」(2008年3月 札幌駅)
:キハ183-4「ペンギン号」(2008年3月 札幌駅)
:滝川駅に停車中の「旭山動物園号」(2007年9月)

JR九州

転用に伴う諸改造
  • 「ゆふいんの森II世」
「オランダ村特急」廃止後の1992年、転用のため内外装を改造した。
キハ182-1002 では子供向け空間「ぷれいらんど」を一般座席に改装し、キハ183形の展望室座席はミニバーに改装された。外部塗色はキハ71系気動車の配色に準じ、緑色の地に金帯を配したものである。
特急「ゆふいんの森」に使用されたが、1999年にキハ72系気動車「ゆふいんの森III世」が製造され、同列車での運用はなくなった。
  • 「シーボルト」
「ゆふいんの森」運用終了後、大村線経由の特急に使用するため再度改造された。
「オランダ村特急」時代とほぼ同じ塗装[22]となったが、青色の細帯は省略され、側面にはロゴが入れられた。[23]特急「シーボルト」に使用されたが、2003年の同列車廃止で用途がなくなり保留車扱いとなった。
  • 「ゆふDX」
2004年に久大本線の特急「ゆふDX」に使用するため三度目の転用改造が実施された。初期の塗装は「古代漆色」と称する配色で、展望室には通年割増料金のパノラマシートが設置された。走行機関の換装を同時に実施している。
2008年の定期検査時に車体色を「古代漆色」から山吹色に変更[2]し、前面腰部に同社のキハ185系気動車と同様の補助灯を左右1対追設している。

リゾート編成

1980年の千歳線電化時に、北海道の空の玄関口である千歳空港に直結して千歳空港駅(現・南千歳駅)が開業、翌1981年には石勝線が開業し、主に道央地区に開発されたリゾート地への旅客が増加した。空港とリゾート地を直結する移動手段として専用リゾート列車が製造され、1985年にキハ56系急行形気動車から改造された「アルファ・コンチネンタルエクスプレス」の好評を受け、1986年にはキハ80系特急形気動車を種車として高速性能の向上を図った「フラノエクスプレス」が、1987年には「トマム・サホロエクスプレス」が増備された。4編成目からは、さらなるサービス向上を目指してキハ183系が基本とされ、1992年までに3編成12両が自社(JR北海道)苗穂工場で新製された。以下、編成ごとに概要を記する。

ニセコエクスプレス(5000番台)

優駿浪漫号として使用されるニセコエクスプレス
(2005年5月 日高本線 様似駅)
千歳空港とニセコを結ぶスキー列車に用いるため、1988年に製作された。
本系列をベースとする初のリゾート車両で、ニセコ方からキハ183-5001 - キハ182-5001 - キハ183-5002の3両編成を組む。
従来のリゾート列車が客室の一部又は全部を高床式としていたのに対し、曲線の多い山岳路線を走行することから床面はフラットな構造とされ床面の嵩上げは 200 mm にとどめられた。屋根の高い車体断面は存置され、広い車内空間が確保される。
座席はリクライニングシートが一般用よりもわずかに広い960mm間隔で並べられ、定員はキハ183形で48人、キハ182形で56人である。当初は各座席に液晶式シートTVが設置されていたが、2004年のシートモケット張替の際に撤去され、現在はオーディオサービスのみ存置されている。
冷房装置は取外し可能な床置き式で、冬季には取外し後の空間をスキー板等の大型荷物置き場として使用できる。
前頭部は傾斜角を大きくとり、大型の曲面ガラスを採用した流線型とされた。JRの鉄道車両として初めてプラグドアを採用し、密閉性の向上と車体外側面の平滑化による着雪防止を図っている。
走行装置はNN183系に準じた仕様で、最高速度 120km/h に対応している。走行用機関はキハ183形に DMF13HZ (330PS/2,000rpm) を2基、キハ182形に同じ走行用機関を1基と電源用機関を搭載している。
プロ野球パシフィック・リーグ球団の日本ハムファイターズ(現・北海道日本ハムファイターズ)の北海道フランチャイズ移転前年の2003年12月にファイターズのマークをあしらったデザインとなり、臨時特急「ファイターズ号」として運転されている。

クリスタルエクスプレス トマム & サホロ(5100番台)

クリスタルエクスプレス
(2008年3月 南千歳駅)
石勝線方面への観光輸送に用いるため、1989年に製作された。
キハ183-5101 - キハ182-5101 - キハ183-5102の3両編成で登場したが、翌1990年に2階建てキサロハ182-5101を増結し、4両編成となった。1990年度の通商産業省グッドデザイン商品(現・日本産業デザイン振興会グッドデザイン賞)に選定されている。
「全面展望」を設計コンセプトの主軸とし、先頭車のキハ183形は、運転室を2階にあげて先頭部を乗客に開放する名古屋鉄道パノラマカー方式の展望車とした。客席部は床面を 300 mm 上げ、側窓も屋根肩にまでかかる曲面ガラスとなっている。中間車のキハ182形は、車体断面をさらに大きくとり、屋根肩部に天窓を設けるとともに妻部にも窓を設けた「ドームカー」とし、360度の展望を確保している。
座席はバケットタイプのリクライニングシートで、座席間隔は 960 mm である。定員はキハ183形が44人(うち展望席8人)、キハ182形56人である。各席にシート液晶テレビが設置されていたが、2003年に撤去され、その後は各車車端部と展望室ならびにグリーン個室に液晶モニターが設置されている。
走行装置は「ニセコエクスプレス」同様NN183系に準じた仕様で、最高速度は 120 km/h である。走行用機関をキハ183形に2基、キハ182形に走行用機関1基と電源用機関1基を搭載するのも同じである。自動空気ブレーキではあるが、運転席が2階に移り、空気配管を省略するため、ブレーキハンドルは縦軸式の設定器となっている。
1990年に増備された キサロハ182-5101 は、気動車列車では日本初の2階建て車両である。台車間に1階部分を落とし込む構造のため、走行用機関を搭載しない付随��で、台車は廃車発生品の電車用 TR69D を履く。2階客席は4人用のボックスシート(普通席)を7組配置し、1階には4人用のグリーン個室を3室設置する。シートはソファタイプである。同車は2階部分と平屋部分車端部の2か所にラウンジを設け、平屋部に設けられたラウンジには、妻面にかかる曲面ガラスを設けて斜め方向の展望を確保している。

ノースレインボーエクスプレス(5200番台)

ノースレインボーエクスプレス(1998年7月 摩周駅)
キハ56系気動車「アルファコンチネンタルエクスプレス」の置換え用として1992年に製作された。愛称は公募により決定されたものである。
編成は函館方から キハ183-5202 (Mc2) - キハ182-5251 (M) - キサハ182-5201 (TD) - キハ182-5201 (mg) - キハ183-5201 (Mc1) の5両編成である。1992年7月に Mc2-mg-Mc1 の3両編成で運行を開始したが、同年12月に M-TD を加え5両編成となった。
客室は展望性を重視して高床式を基本とし、中間に2階建て車を連結した。側窓は屋根肩にまでかかる曲面ガラスで、天窓を設ける。座席はリクライニングシートで、座席間隔は 960 mm である。
内外装の配色は同一系統の色調で揃えられ、基調色は各車両ごとに異なる。上記の編成順に ラベンダー・ブルー・ライトグリーン・オレンジ・ピンクである。
1994年3月の函館本線特急高速化に先行して、一般のNN183系より先に最高速度 130 km/h に対応している。走行用機関はキハ183形200番台と同じ DMF13HZC (420PS/2,000rpm) を各車に1台ないし2台搭載し、付随車組込みによる編成重量増に対応している。台車は動台車が1軸駆動の DT53B 、付随台車は TR239A である。電源用機関は中間の キハ182-5201 に搭載する。
青函トンネル通過対策が実施されており、電気機関車牽引により本州への乗り入れが可能である。
  • キハ183形 (5201, 5202)
 
上:キハ183-5201
下:キハ183-5202
(2008年3月 岩見沢駅)
編成の両端に連結される運転台付の普通車で、定員は47名である。駆動機関は2台を搭載する。車体帯色は 5201 (Mc1) がラベンダー、 5202 (Mc2) がピンクである。
キハ183-5201 は1997年2月の踏切事故で大破し、修理復旧の代替車両として キハ183-1 を使用した。
  • キハ182形 (5201, 5251)
 
上:キハ182-5201
下:キハ182-5251
(2008年3月 岩見沢駅)
編成の中間に連結される普通車で、定員はいずれも60名である。
5201 (mg) は発電機関として DMF13HZ-G (300PS) /DM93 (210kVA) を1組搭載し、駆動機関は1台を搭載する。車体帯色はオレンジである。
5251 (M) は1992年12月に追加組成された車両で、駆動機関を2台搭載し、車体帯色はブルーである。
  • キサハ182形 (5201)
キサハ182-5201
(2008年3月 岩見沢駅)
編成の中間に連結される付随車 (TD) で、駆動機関はもたない。1992年12月に追加組成された。車体帯色はライトグリーンである。2階建車両で、1階部分にラウンジ・ビュッフェを設け、2階部分を客室とする。定員は36名である。

運用の変遷

国鉄時代

試作車は函館運転所(現・函館運輸所)に配置され、各種試験の後、1980年2月10日から函館 - 釧路間の特急「おおぞら」5・4号で運用を開始した。1編成を隔日で使用する体制であった。

続いて、量産車が函館運転所・札幌運転所に配置され、1981年10月の石勝線開業時に「おおぞら」、「北海」に投入された。翌1982年から「オホーツク」、1983年から「北斗」にも導入した。

1985年3月のダイヤ改正では短編成化による増発を実施した。当初、車両需給の関係からグリーン車を連結しない編成が存在した。

1986年11月のダイヤ改正ではN183系を36両製作し、札幌運転所に配置した。35両は従来型のキハ184形を連結して7編成42両となり、「北斗」「おおぞら」で使用した。残りの1両はグリーン車で、普通車のみの編成を解消している。本区分の使用開始により、キハ80系は北海道内定期列車での使用を終了した。同時に、試作車・基本番台ともN183系に合わせた塗装��の変更が開始され、1987年に変更を完了している。

1987年のJR北海道発足時には、試作車12両・基本番台89両・N183系36両の合計137両が承継された。

JR北海道

1988年3月のダイヤ改正では「北斗」で120km/h運転実施のためNN183系28両を製作のうえ札幌運転所に配置し、本区分を主とする改良型のみで組成した編成を使用した。この編成では電源機関付きのキハ183形1500番台、1550番台を使用し、120km/h運転ができないキハ184形+キハ183形500番台の組は基本番台(0・900番台)の運用に転用された。

1991年、「スーパーとかち」用に2階建てグリーン車キサロハ182形を4両投入した。本形式が定期列車用のキハ183系最終増備となる。

1992年に夜行「大雪」が「オホーツク」に、1993年に「まりも」が「おおぞら」に統合された際には寝台車を組成する必要から、14系客車を本系列編成の中間に組み込む対応がなされた。

1994年2月に発生した石勝線脱線事故では3両が廃車[24]され、本系列初の除籍車となった。

1994年3月にキハ281系が「スーパー北斗」に、1997年3月にキハ283系が「スーパーおおぞら」で使用を開始するなど、輸送改善のため後継車両の投入が本格化すると本系列の使用範囲は縮小に転じる。2000年には宗谷本線系統の優等列車特急化で「利尻」「サロベツ」での使用を開始したが、翌2001年にはキハ283系の増備により「おおぞら」での運用が終了する。同年から老朽による本系列の淘汰が開始され、試作車12両は同年中に全車が廃車された。以後、初期車を中心に淘汰が進捗することとなる。

2007年にはキハ261系が「とかち」系統で使用を開始し、同系統で使用してきた出力増強改造車なども淘汰の対象となった。利用の振るわない夜行列車の運用も、臨時列車化などで運転本数は漸次削減され「利尻」「オホーツク」はそれぞれ2007年9月・2008年3月で運行を終了した。残存した「まりも」も2008年8月で運転を終了[25]し、本系列の夜行運用は終了した。

2008年現在、JR北海道の��属車は函館運輸所札幌運転所釧路運輸車両所に配置し、以下の列車で使用する。

「まりも」に使用されるキハ183形100番台
(2008年8月 千歳線 西の里信号場

後継となるキハ281系・キハ283系・キハ261系の投入が進み、基本番台を恒常的に使用する列車は「オホーツク」のみとなった。

釧路運輸車両所の所属車はキサロハ182形 (551 - 554) の4両のみで、営業運転に使用する車両の配置はない。

JR九州(1000番台)

1000番台の新製当初は竹下気動車区(現・博多運転区)に配属され、「オランダ村特急」(小倉 - 佐世保)で使用された。1989年の門司港延長運転開始とともに4両編成となり、下り列車の門司港→博多間で電車特急「有明」との協調運転を開始した。1990年には協調運転区間が門司港→鳥栖間に延長され、程なく直方気動車区(現・筑豊篠栗鉄道事業部直方運輸センター)に転属した。

1992年、ハウステンボス開園とともに特急「ハウステンボス」(博多 - ハウステンボス駅)が485系電車で運行を開始し、「オランダ村特急」は廃止された。本区分は「ゆふいんの森II世」に転用され、1999年まで使用された。

「ゆふいんの森II世」時代には「阿蘇キャンペーン」(1994年12月 - 1995年2月)の一環として、臨時特急「阿蘇キャンペーン号」(熊本 - 宮地)にも使用された。

1999年には長崎鉄道事業部長崎運輸センターに転属し、特急「シーボルト」(佐世保 - 長崎、大村線経由)として2003年まで使用された。2004年以降は豊肥久大鉄道事業部豊肥久大運輸センター(現・大分鉄道事業部大分車両センター)に配置し、「ゆふDX」(博多 - 大分 - 別府)として使用している[26]

「ゆふ」3往復のうち、半分の1.5往復が1000番台を使用する「ゆふDX」である。奇数日と偶数日で運用される列車が異なるが、毎月31日、うるう年の2月29日および1000番台編成の検査や故障などの場合、全列車をキハ185系による「ゆふ」として運転する。

脚注

  1. ^ 本系列は新系列気動車として3桁で付番された「183系」である。しかし、慣習的なものや183系電車と混同しやすいことから、「キハ183系」と呼ぶことが多い。
  2. ^ 同世代の181系電車はこの頃営業運転を終了している。
  3. ^ キハ40系で使用するものと同一仕様である。
  4. ^ キハ66系用 DW9 の改良型で、出力軸系統の強化・軽量化がなされる。
  5. ^ キハ184形試作車 (901) はトイレ・洗面所を設ける。
  6. ^ キハ38形が搭載した機関で、定格回転数を向上させるなどの変更がなされる。
  7. ^ キハ90系や新系列気動車(キハ181系・キハ391系)にあった、人間工学を応用した独特のマスコン・ブレーキハンドルや、スピードに応じて自動的に変速したり、クラッチを直結する自動進段装置などの新機軸の採用は見送られた。
  8. ^ 非常時の避難誘導方針が変更され、非常扉から脱出する誘導法をやめ、隣の車両へ誘導する方法に改訂したためである。また、氷雪の侵入による腐食の懸念もあった。
  9. ^ 20系客車のナロ20形と同一の構造である。
  10. ^ キハ182形の非常口は完全に撤去されず、扉は溶接された。キハ182-904 は、量産化改造後も非常窓が存置された。
  11. ^ 試作型座席は、モケットを除き茶色単色だった。
  12. ^ 特徴的な外観から「坊主」と呼ばれている。
  13. ^ 撤去された電源用機関は、同時期に先頭車化改造された キハ181-101 に転用されている。
  14. ^ 中古品の R27B 形座席を使用し、モケットを張替えたうえで転用している。
  15. ^ 1両のみ当初の仕様で残存した 508 も、後年に3列化改造が行われている。
  16. ^ 後年改造されたお座敷車(6000番台)も同様である。
  17. ^ 本系列を使用する夜行列車に寝台車として併結される14系客車には「95」の表記がなされる。
  18. ^ N/NN183系の現在の「とかち」色とは窓枠の塗り分けが若干異なっていた。
  19. ^ 後に「スーパーとかち」用も同様の塗り分けに改められた。
  20. ^ キハ182-6 - 8 は仕切戸化粧板取替えも実施した。
  21. ^ この運用中の1997年5月3日には奥羽本線弘前まで乗り入れ、基本番台で唯一本州に乗り入れた例となっている。
  22. ^ 名称の由来であるドイツ人医師シーボルトオランダ商館医師として最初に来日したことや、列車がハウステンボスを経由することによる。
  23. ^ 1編成のみで使用するため、本編成の検査時などはキハ185系が代走していた。
  24. ^ 罹災した キハ183-502・キハ184-11・キハ182-33 は1994年3月30日付で車籍を抹消された。
  25. ^ JR北海道プレスリリース 2008年7月15日
  26. ^ 一時、NHK連続テレビ小説風のハルカ』のラッピング塗装を施した時期もある。

参考文献

  • 鉄道ジャーナル社 『国鉄現役車両1983』 鉄道ジャーナル別冊No.4 1982年
  • イカロス出版 イカロスMOOK 名列車列伝シリーズ 5 『特急おおぞら&北海道の特急列車』 1998年
  • 鉄道ジャーナル社 『鉄道ジャーナル』 2004年12月号 No.458 特集:JR北海道の幹線輸送
  • 電気車研究会 『鉄道ピクトリアル』 2006年2月号 No.772 特集:キハ181・183・185系
  • 加藤 勝 『 - 激動の時代の風雲児 - キハ183系特急形気動車』 - 交友社『鉄道ファン』 2007��8月号 No.556 p94 - 103
  • 手塚一之『車両のうごき 2007 - 2008』 - 交友社 『鉄道ファン』 2008年7月号 No.567 p66 - 83
  • 山と渓谷社 『国鉄車両形式集・2 気動車』 2007年

関連項目