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赤と黒 (宝塚歌劇)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

赤と黒』(あかとくろ)は、宝塚歌劇団のミュージカル作品。原作はスタンダール同名小説。脚本が菊田一夫版(1957年初演)と柴田侑宏版(1975年初演)がある。

柴田侑宏版の初演時タイトルは「恋こそ我がいのち -スタンダール作「赤と黒」より-[1]」であった。

あらすじ

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貧しい家庭出身の美青年、ジュリアン・ソレルは立身出世のため聖職者を志し、司祭の紹介で町長のレナール家でラテン語家庭教師を務める。やがてレナール夫人と激しい恋に落ちるが、密告によりレナール家から追放される。

ジュリアンは神学校に入学するも退学。今度はラモール侯の秘書を務め、積極的な令嬢マチルドとやがて恋に落ち結婚を決意する。ところがラモール侯がレナール家にジュリアンの過去を問いただしたところ、かつての不倫が露見。推薦文を依頼したレナール夫人の「女を手に入れ、財産を狙う男」という手紙により、結婚は白紙に戻された。

出世の道を断たれたジュリアンは故郷に戻る。そして教会で祈りを捧げるレナール夫人を見かけたとき、彼は彼女を銃撃してしまう…。

登場人物

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  • ジュリアン・ソレル - ナポレオンを崇拝するが、出世のために聖職者を志す。
  • レナール夫人 - 町長レナール氏の貞淑な妻
  • フーケ - ジュリアンの友人
  • マチルド - ラモール侯爵令嬢。ジュリアンを誘惑し、やがて恋に落ちる。

楽曲

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これまでの上演

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菊田版

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1957年花組[2][3]・初演
9月1日から9月29日[2][3]宝塚大劇場で上演。東京では未公演。
演出は高木史朗[2][3]
正式なタイトルは『赤と黒』 -ジュリアン・ソレルの恋と人生-[3]
形式名は「グランド・ミュージカル[3]」。二部34場[3]
併演作品のない一本立ての作品。
上演当時は内容が宝塚向きでないとされ、賛否両論があった[3]

柴田版

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1975年月組[4]・初演
10月2日から11月11日[1][5](新人公演:10月25日[6])に宝塚大劇場で、1976年3月3日から3月24日[7][8](役替わり公演:3月14日[6]、新人公演:3月19日[6])に東京宝塚劇場で上演。併演はグランド・レビュー『イマージュ[4][9]
宝塚の形式名は「ミュージカル・ロマン[1]」で12場[1]
東京公演時に、「赤と黒」へ改題。
本来の月組トップ娘役初風諄はヨーロッパ公演参加および星組公演『ベルサイユのばらⅢ』への特別出演等のため大劇場・東京とも全日程休演、そのため舞小雪がヒロイン・レナール夫人をつとめた。
主演の大滝子は翌年6月の大劇場公演『スパーク&スパーク/長靴をはいた猫』千秋楽をもって歌劇団を退団しており、本作が大がトップとしての最後の東京公演であった。
新人公演・配役
役替わり公演・配役[6]
1989年月組
月組が2月4日から2月14日[10]宝塚バウホールで、1990年1月4日から1月10日[11]日本青年館で上演。
東京の主な出演[11]は涼風真世、朝凪鈴、羽根知里、天海祐希、未沙のえる、愛川麻貴のほか、幸風イレネ大峰麻友波音みちる、八汐祐季、若央りさ、久世星佳
2008年星組
3月13日から3月25日梅田芸術劇場のシアター・ドラマシティ、3月31日から4月7日日本青年館、4月12日から4月14日愛知厚生年金会館で上演。演出は中村暁が担当。
主演の安蘭けいは、長年ジュリアン役を熱望していた。
2020年月組
2月10日から3月4日御園座で上演(2月29日~3月4日の期間はCOVID-19の感染拡大により休演)。演出は中村暁が担当。
中日劇場の営業終了から2年ぶりの名古屋公演となった。

配役及びスタッフ

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()は劇場場所。不明点は「?」とする。

本公演キャスト
  1957年花組
(宝塚)[注 1]
1975年月組
(宝・東)
1989年月組
(バウ)
1990年月組
(青年館)
2008年星組
(梅芸・青年館・愛知)
2020年月組
(御園座)
ジュリアン 寿美花代[3] 大滝子[6] 涼風真世[10][11] 安蘭けい[12][13][14] 珠城りょう[15]
レナール夫人 淀かほる[3] 舞小雪[6] 朝凪鈴[10][11] 遠野あすか[12][13][14] 美園さくら[15]
マチルド 鳳八千代 小松美保[6] 羽根知里[10][11] 夢咲ねね[12][13][14] 天紫珠李[15]
フーケ ? 瀬戸内美八 天海祐希[10][11] 柚希礼音[12][13][14][注 2] 月城かなと[15][注 3]
コラゾフ公爵 ? 藤城潤 久世星佳[10] 久世星佳[要出典] 柚希礼音[12][13][14][注 4] 月城かなと[15][注 5]
レナール氏 神代錦 天城月江 未沙のえる[10][11] 立樹遥[12][13][14] 輝月ゆうま[15]
ノルベール伯 ? 尚すみれ 若央りさ[10] 若央りさ[要出典] 涼紫央[12][13][14] 夢奈瑠音[15]
ピラール校長 ? 美山しぐれ 幸風イレネ 磯野千尋[12][13][14] 夏美よう[15]
シェラン司祭 ? 小柳日鶴 真樹ゆたか[10] 波音みちる 英真なおき[12][13][14] 颯希有翔[15]
ヴァルノ氏 ? 美吉野一也 大和なつ希[10] 大峯麻友 にしき愛[12][13][14] 千海華蘭[15]
ナピエ大司教 ? ? ? 紫蘭ますみ[12][13][14] 周旺真広[15]
フリレール副司教 ? ? ? 美稀千種[12][13][14] 蒼真せれん[15]
ヴァランタン夫人 ? ? ? 百花沙里[12][13][14] 香咲蘭[15]
ベルジュ夫人 ? ? ? 毬乃ゆい[12][13][14] 桃歌雪[15]
サンクレール夫人 ? ? ? 星風エレナ[12][13][14] 夏月都[15]
デルヴィール夫人 ? 大空美鳥 並樹かおり 蘭玲花 琴まりえ[12][13][14] 晴音アキ[15]
門番 ? ? ? 美城れん[12][13][14] 瑠皇りあ[15]
ラパン ? ? ? 天霧真世[12][13][14] 空城ゆう[15]
クロワズノワ侯爵 ? 叶八千矛 八汐祐季[10] 八汐祐季[要出典] 和涼華[12][13][14] 蓮つかさ[15]
ラ・ジュマート男爵 ? ? 真織由季 彩海早矢[12][13][14] 礼華はる[15]
貴族の女 ? ? ? 花愛瑞穂[12][13][14]
初瀬有花[12][13][14]
天愛るりあ[15]
まのあ澪[15]
あまの輝耶[15]
咲彩いちご[15]
フェルバック元帥夫人 ? 邦なつき 朝吹南 華美ゆうか[12][13][14] 結愛かれん[15]
看守 ? ? ? 天緒圭花[12][13][14] 甲海夏帆[15]
貴族の男 ? ? ? ? 彩路ゆりか[15]
真弘蓮[15]
一羽萌瑠[15]
夏凪せいあ[15]
マリアンヌ ? ? ? 純花まりい[12][13][14] 羽音みか[15]
サンジャン ? ? ? 水輝涼[12][13][14] 大楠てら[15]
アドルフ ? 杏うらら 果林いずみ ? 如月蓮[12][13][14] 夏風季々[15]
スタニスラス ? 姫白鳥 美原志帆 白妙なつ[12][13][14] 白河りり[15]
ミリアム ? 純川暁美 花丘美幸 花風みらい[12][13][14] 美海そら[15]
エリザ ? 風かおる[注 6]
北原千琴
麻乃佳世[10] 麻乃佳世[要出典] 稀鳥まりや[12][13][14] きよら羽龍[15]
ラモール侯 美吉佐久子 美吉佐久子
藤城潤
愛川麻貴[10][11] 萬あきら[12][13][14] 一樹千尋[15]
スタッフ
  1957年花組 1975年月組 1975年月組 1989年月組  1990年月組 2008年星組
 劇場 宝塚 宝塚 東京 バウホール 青年館 梅芸
青年館
愛知
脚本 菊田一夫[2] 柴田侑宏[1][5] 柴田侑宏[7][10][11][16]
演出 高木史朗[2][3] 柴田侑宏[1][5] 柴田侑宏[7][10][11] 中村暁[16]
音楽 入江薫[17]
山根久雄[17]
堤五郎[17]
中元清純[17]
河崎恒夫[17]
寺田瀧雄(作曲・編曲)[18]
河崎恒夫(編曲)[18]
? 寺田瀧雄(作曲・編曲)[10]
吉田優子(編曲)[10]
? ?
音楽指揮 ? 野村陽児[18]
溝口堯[18]
? ? ? ?
振付 玉田祐三[17]
渡辺武雄[17]
河上五郎[17]
喜多弘[18]
羽山紀代美[18]
? 羽山紀代美[10] ? ?
装置 渡辺正男[17] 黒田利邦[18] ? 大橋泰弘[10] ? ?
衣装 平尾文男[17]
静間潮太郎[17]
阿南真以由[17]
小西松茂[18] ? 任田幾英[10] ? ?
照明 今井直次[17][19] ? 今井直次[10] ? ?
音響 ? 松永浩志[19] ? ? ? ?
小道具 生島道正[17] 上田特市[19] ? ? ? ?
効果 松岡知一[17] 坂上勲[19] ? ? ? ?
特殊撮影 宝塚映画撮影所[17] ? ? ? ? ?
演出補
もしくは
演出助手
? 村上信夫(助手)[19] ? 村上信夫(補)[10]
正塚晴彦(補)[10]
? ?
製作 ? ? ? 細田勝幸[10] ? ?
制作 ? 橋本雅夫[19] ? 飯島健[10] ? ?

脚注

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注釈

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  1. ^ 一部人物表記が柴田版とは異なる(例:レナル夫人)が、便宜上同じに扱った。
  2. ^ コラゾフ公爵と2役
  3. ^ コラゾフ公爵と2役
  4. ^ フーケと2役
  5. ^ フーケと2役
  6. ^ 大劇場公演のみ

出典

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  1. ^ a b c d e f 100年史(舞台) 2014, p. 141.
  2. ^ a b c d e 80年史 1994, p. 212.
  3. ^ a b c d e f g h i j 100年史(舞台) 2014, p. 117.
  4. ^ a b 100年史(舞台) 2014, p. 141、215.
  5. ^ a b c 80年史 1994, p. 216.
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m 100年史(舞台) 2014, p. 294.
  7. ^ a b c 80年史 1994, p. 226.
  8. ^ 100年史(舞台) 2014, p. 215.
  9. ^ 80年史 1994, p. 216、226.
  10. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y 80年史 1994, p. 337.
  11. ^ a b c d e f g h i j 80年史 1994, p. 344.
  12. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae 2008年・シアタードラマシティ公演配役(宝塚歌劇団公式) 2013年12月7日閲覧
  13. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae 2008年・日本青年館公演配役(宝塚歌劇団公式) 2013年12月7日閲覧
  14. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae 2008年・愛知厚生年金会館公演配役(宝塚歌劇団公式) 2013年12月7日閲覧
  15. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak 2020年・御園座公演配役(宝塚歌劇団公式) 2020年3月1日閲覧
  16. ^ a b 2008年・シアタードラマシティ公演 案内(宝塚歌劇団公式) 2019年2月10日閲覧。
    2008年・日本青年館公演 案内(宝塚歌劇団公式) 2019年2月10日閲覧。
    2008年・愛知厚生年金会館公演 案内(宝塚歌劇団公式) 2019年2月10日閲覧。
  17. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 100年史(人物) 2014, p. 181.
  18. ^ a b c d e f g h 100年史(人物) 2014, p. 196.
  19. ^ a b c d e f 100年史(人物) 2014, p. 197.

参考文献

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  • 企画・構成・執筆:橋本雅夫、編集統括:北川方英『夢を描いて華やかに -宝塚歌劇80年史-』宝塚歌劇団、1994年9月9日。ISBN 4-924333-11-5 
  • 監修・著作権者:小林公一『宝塚歌劇100年史 虹の橋 渡りつづけて(舞台編)』阪急コミュニケーションズ、2014年4月1日。ISBN 978-4-484-14600-3 
  • 監修・著作権者:小林公一『宝塚歌劇100年史 虹の橋 渡りつづけて(人物編)』阪急コミュニケーションズ、2014年4月1日。ISBN 978-4-484-14601-0 

外部リンク

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