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Craft Egg

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
株式会社Craft Egg
Craft Egg Inc.
本社が入居していたAbema Towers
種類 株式会社
本社所在地 日本の旗 日本
150-0042
東京都渋谷区宇田川町40番1号
Abema Towers
設立 2014年5月1日
業種 情報・通信業
法人番号 6011001099973 ウィキデータを編集
事業内容 スマートフォンアプリの企画開発・運営
代表者 代表取締役社長 森川修一
資本金 1億107万5000円
純利益 3億1700万円
(2023年9月期)[1]
総資産 18億7800万円
(2023年9月期)[1]
従業員数 158名(2021年12月現在)
主要株主 サイバーエージェント
関係する人物#関連人物」参照
外部リンク 公式サイト - ウェイバックマシン(2024年2月27日アーカイブ分)
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株式会社Craft Egg(クラフトエッグ、: Craft Egg Inc.)は、かつて存在したスマートフォンアプリの企画・開発・運営を主な事業としていた日本の企業。株式会社サイバーエージェントの子会社であった。

概要

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コンサルティング会社で営業をしていた森川修一がサイバーエージェントのゲーム事業部へ営業を行った際に同社の役員と意気投合し、2014年5月1日にサイバーエージェントの子会社として設立[2]

事業内容は、スマートフォンゲームの企画・開発・運営のほか、自社も含めた制作作品のキャラクターデザイン、設定・シナリオ制作なども請け負っていた。社訓として「人生を豊かにするコンテンツをつくる」を掲げていたほか、会社が大事にしている価値観として「YOLK(黄身)」を掲げていた。黄身はCraft Eggの『Egg』、すなわち会社の核をなす考え方のことであり、「ユーザーファースト」「チームワーク」「チャレンジ」「プロ意識」の4つの価値観を重要視した開発・運営を行っていた[3]。社名の由来は「ものづくり」のクラフトと新しい発見は大変だというコロンブスの卵からきている[2]

森川は設立初期、2Dや3Dを使用した女の子の青春ゲームを作りたいと考えていた。しかし、当時の会社の規模では開発が難しく、さらに、できるだけ早く作品をリリースする必要もあった。そのため、森川と取締役の村上徹がそれぞれプロデューサーを務め、お互いに1タイトルずつグループ内のゲームエンジンを使用したスマートフォンゲーム『モンスターパズルアドベンチャー』と『東京マッドカーニバル』をリリースした。さらに、取締役の近藤裕一郎もプロデューサーとして『なないろランガールズ』をリリースした。この3タイトルは短期間でサービス終了となるも、このときに得たメディアミックス作品への挑戦やキャラクターコンテンツと向き合うという経験が「人生を豊かにするコンテンツをつくる」という会社方針や、設立から半年後の2014年末にブシロードから開発依頼を受けたアプリゲーム『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』の制作へと繋がった[4][5]

2018年6月1日、Craft Eggの新スタジオとしてアプリ開発をメインにメディアミックス展開を重点に置いた活動をしていくことを目的に子会社として「株式会社Colorful Palette(カラフルパレット、後にサイバーエージェントの子会社へ異動)」を設立[6]

2020年秋、キャストやスタッフのスケジュール調整や外部の音声スタジオの予約・予算管理などの問題の解消を目的にCraft Eggの音声収録スタジオとして「Studio Egg(スタジオエッグ)」を設立[7]

2024年1月をもってスマートフォン関連事業より撤退しており、同年4月1日付でサイバーエージェントに吸収合併され解散[8]。なお、残事業であるフィギュアブランド「iDELiTE FiGURE」はColorful Paletteへ移管される[9]

ちなみに社長だった森川は、当社解散前に別途、株式会社フロムトーキョーを設立しており(株主は一般公表していないが、サイバーエージェントのグループ会社として記載されていないことから、同社系列ではない)、当社主力タイトルであった『バンドリ! ガールスバンドパーティ!』の制作協力を行っている[10]

開発体制

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森川らは企画・開発を行う際に、プロデューサーやディレクターなど、ひとりの企画力やセンスに頼る業界内の開発体制に限界を感じていた。そのため、『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』からは「みんなでつくる」ことを意識したチームワーク重視の体制となり、プロデューサーひとりの判断ですべてを決めるのではなく、社員全員がセクションの垣根を超えて意見を言い合うなど協力体制を築く方針へと変更になった。このため、セクションに関係なく、すべてのチームのスタッフが各キャラクターの設定やストーリーなどバックグラウンドを理解して意見を言い合える環境を整えている[11]。また、事業の状態や制作コスト、キャラクター人気などを理由にコンテンツにおける意思決定をすることはせず、作り手の視点に偏りすぎることのないユーザーファーストな運営体制を徹底している[12]

自社開発作品の作品コンセプトやキャラクター設定・脚本・スクリプトなどの各種設定・シナリオ制作、キャラクターデザインや各種ロゴデザインなどの各種デザイン、キャラクターや背景美術などのイラスト制作もCraft Egg内のチームで内製しているため、タイトルのイベント更新頻度が多くてもクオリティの高い内容を届けられるようにスケジュールを組むことが可能な環境となっている[13]。また、各セクションで制作されたものをリリース前にチャットツールにて全体に共有し、要望や感想、改善提案を出し合うなど、セクションの垣根を越えて社員全員が発言できる環境を整えている[14]

ユーザーから寄せられた問い合わせや要望への対応では定型文による回答や返信は基本的に行っておらず、可能な限り各案件について個別に対応するようにしている[3]

2020年秋以降は自社音声収録スタジオ『Studio Egg』にて各種開発作品の音声収録も内製にて行っている[7]

評価

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2017年3月16日より同社が開発しブシロードと共同企画・配信・運営を行うスマートフォン向けアプリケーションゲーム『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』は、2017年3月の配信開始以降、App Storeのセールスランキングで上位圏内を維持し、2017年内に約91億円の売上高を記録。2周年記念の2019年3月にはセールスランキング初の1位を獲得し、サイバーエージェントグループにおけるゲーム事業の収益に貢献した[15][16][17]。また、2017年12月4日に発表された『Google Play 2017年 ベストゲーム』においてAndroid用ゲームアプリとして、ユーザー投票部門とアトラクティブ部門の2部門にて大賞を受賞した[18][19]

開発ゲーム

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不定期配信

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発売年月 作品名 機種 運営元 開発 備考
2018年1月09日 バンドリ!ガルパ AR! iOS/Android ブシロード Craft Egg イベント専用アプリとして1ヶ月間期間限定配信。
2019年までに、リアルイベントに合わせ2度のアップデートが実施されている。

移管タイトル

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サービス開始日 移管日 作品名 機種 運営元 開発 備考
2020年9月30日 2021年1月8日 プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク iOS/Android セガ Colorful Palette キャラクター原案・キャラクターデザイン・設定・シナリオ制作なども担当。
2021年1月8日に子会社のColorful Paletteへ移管したことを発表[20]
2017年3月16日 2024年1月17日 バンドリ! ガールズバンドパーティ! Craft Egg
ブシロード
Craft Egg キャラクター原案・キャラクターデザイン・設定・シナリオ制作なども担当。
2024年1月4日付で開発・運営を共同運営者であるブシロードへ移管する予定だったが[21]、同日に変更を都合により先送りしたことを公表し、同17日より運営変更が実施されたことを報告した(ゲーム中の当社ロゴ等は2月中に除去予定)[22]

終了済タイトル

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発売年月 終了年月 作品名 共同開発 機種 備考
2014年11月14日 2015年6月30日 モンスターパズルアドベンチャー N/A iOS/Android
2014年12月12日 2015年7月01日 東京マッドカーニバル
2015年8月19日 2016年9月25日 なないろランガールズ エイティング エイティングとの共同開発であったが、2016年01月18日に権利を移行[23]し開発より撤退

参加作品

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テレビアニメ

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放送年 タイトル アニメーション制作 備考
2018年 ぱすてるらいふ studio A-CAT キャラクター原案・タイトルロゴデザイン
BanG Dream! ガルパ☆ピコ ダブトゥーンスタジオ
DMM.futureworks
サンジゲン
キャラクター原案・音楽・制作協力
2019年 BanG Dream! 2nd Season サンジゲン キャラクター原案・衣装デザイン・
制作協力(森川修一、沢村英祐、西野裕子)
2020年 BanG Dream! 3rd Season
BanG Dream! ガルパ☆ピコ 〜大盛り〜 ダブトゥーンスタジオ
DMM.futureworks
サンジゲン
キャラクター原案・音楽・制作協力
2021年 プラオレ!〜PRIDE OF ORANGE〜 C2C 原作キャラクターデザイン・原作衣装デザイン
BanG Dream! ガルパ☆ピコ ふぃーばー! ダブトゥーンスタジオ
スクーターフィルムズ
キャラクター原案・音楽・制作協力

劇場アニメ

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公開年 タイトル アニメーション制作 備考
2019年 BanG Dream! FILM LIVE サンジゲン キャラクター原案、衣装デザイン
脚本スーパーバイザー・脚本監修(西野裕子)
製作委員会参加
2021年 劇場版 BanG Dream! Episode of Roselia I.約束 / II.Song I am. 原案

ミュージックビデオ

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公開年 作品 備考
2018年 BanG Dream! Neo-Aspect キャラクター原案、制作協力
もういちど ルミナス
ツナグ、ソラモヨウ
キミがいなくちゃっ!

漫画・イラスト

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タイトル 連載 備考
2017年 BanG Dream! ガールズバンドパーティ! Roselia Stage コミックガルド 原作
バンドリ! ガールズバンドパーティ! イラスト&ショートストーリー 電撃G's magazine -2018年、イラスト&ショートストーリー制作

関連人物

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基本的に営業当時の役職・役務を記載。

  • 森川修一(代表取締役社長、現:フロムトーキョー代表取締役)
  • 日高裕介(取締役、サイバーエージェント取締役副社長兼任〈現職〉)
  • 吉田惠(取締役)
  • 川邊俊彦(監査役)
  • 落合雅也(元取締役)
  • 村上徹(元取締役)
  • 湯田雅(『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』プロデューサー)
  • 沢村英祐(『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』開発統括、コンテンツプロデュース室リーダー、シナリオチームリーダー)
  • 西野裕子(『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』メインライター、シナリオ品質管理担当)
  • 今井新(『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』シナリオライター)
  • 信澤収(『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』キャラクターデザイン・アートディレクター、現:フロムトーキョー取締役)
  • 北村カルティニ(『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』イラストチームリーダー)
  • 久永修平(『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』イラストレーター)
  • 井上順行(『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』キャラクター演出(Live2D)チームリーダー)
  • 廣石好美(『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』デザインチームリーダー)
  • 森田昌朗(『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』クライアントチームリーダー)
  • 田中耀(総務部リーダー、Studio Egg管理責任者)

脚注

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  1. ^ a b 株式会社Craft Egg 第10期決算公告
  2. ^ a b 【インタビュー】人生を豊かにするコンテンツを生み出す!ものづくりにこだわる『ガルパ』を手がけたCraft Egg(クラフトエッグ)に訊く”. インサイド (2017年8月1日). 2018年3月21日閲覧。
  3. ^ a b ユーザー800万人超のリズムゲームはいかにして生まれたのか? 『ガルパ』のCraft Eggが秘訣を語るセミナーをレポート” (2018年12月26日). 2019年4月14日閲覧。
  4. ^ 【インタビュー】人生を豊かにするコンテンツを生み出す!ものづくりにこだわる『ガルパ』を手がけたCraft Egg(クラフトエッグ)に訊く” (2017年8月1日). 2019年4月14日閲覧。
  5. ^ 週刊ファミ通 2019年3月28日号、週刊ファミ通編集部、p22 – p49
  6. ^ “【インタビュー】『ガルパ』開発で知られるCraft Eggが新会社「Colorful Palette」設立! 近藤裕一郎氏と塚田陸氏に聞く設立の経緯と事業内容、ビジョン”. (2018年8月2日). https://gamebiz.jp/news/215719 2018年8月3日閲覧。 
  7. ^ a b “Craft Eggの音声収録スタジオ「Studio Egg」設立の裏側”. (2020年12月25日). https://www.craftegg.co.jp/inside/project/2439/ 2020年12月26日閲覧。 
  8. ^ サイバーエージェント、連結子会社のCraft Eggを4月1日付で吸収合併 Craft Eggは解散に 『ガルパ』はブシロードが開発・運営を担当”. gamebiz (2024年1月31日). 2024年2月5日閲覧。
  9. ^ ㈱Craft Egg代表森川よりお知らせ|ニュース|Craft Egg
  10. ^ 株式会社ブシロードより、株式会社フロムトーキョーとの業務提携に関するお知らせ”. PR TIMES (2024年2月27日). 2024年4月10日閲覧。
  11. ^ 「ガルパ」の一番のファンは社員!? コンテンツの力で人生を豊かにする” (2018年3月19日). 2019年4月14日閲覧。
  12. ^ 【CEDEC 2018】『ガルパ』運営における最上流思想は"ユーザーファースト"…Craft Eggが大切にする価値観とともにその考え方が明かされた” (2018年8月24日). 2019年4月14日閲覧。
  13. ^ 運営、大丈夫なの…?更新頻度がハンパないスマホゲーム「ガルパ」の裏側を社長に訊いてみた【やしろあずき「ゲーム飯」第4回Craft Egg】” (2018年8月6日). 2019年4月4日閲覧。
  14. ^ “「ガルパ × シナリオ塾 ~【ガルパ】ゲームと一緒に成長するキャラクターについて~」Craft Eggシナリオチームが語るシナリオの書き方”. (2018年7月11日). https://www.creativevillage.ne.jp/category/topcreators/game-creator/scenario-writer/43023/ 2018年7月22日閲覧。 
  15. ^ サイバーエージェント、『バンドリ!』が大ヒット…第2四半期ゲーム事業の売上高が29.6%増の358億円に” (2017年7月6日). 2019年5月26日閲覧。
  16. ^ IP作品の垣根を飛び出した『ガルパ』のオリジナリティ Craft Eggが目指す徹底したユーザーファーストと“ガルパイズム”を取材” (2019年4月27日). 2019年5月26日閲覧。
  17. ^ IGAWorks、2017年の二次元アイドルモバイルゲームの調査を発表…第1位は推定売上266億円の『デレステ』” (2018年5月21日). 2019年5月26日閲覧。
  18. ^ Google Play 「ベスト オブ 2017 」ベスト アプリとベスト ゲームが決定”. Google Japan Blog. Google (2017年12月4日). 2018年3月21日閲覧。
  19. ^ Google、17年のGoogle Playの人気コンテンツを紹介する「ベスト オブ 2017」を発表…ベストゲームは『ファイアーエムブレム ヒーローズ』、アプリは『AWA』”. Social Game Info (2017年12月5日). 2018年3月21日閲覧。
  20. ^ 『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』の事業譲渡に関するお知らせ」『』Craft Egg、2021年1月8日。2024年4月4日閲覧。
  21. ^ 『バンドリ!ガルパ』Craft Eggが開発・運営から離脱”. ファミ通.com. KADOKAWA Game Linkage (2023年12月18日). 2023年12月19日閲覧。
  22. ^ バンドリ!ガールズバンドパーティ!のX投稿.2024年1月18日20:05
  23. ^ Craft Eggとエイティング、『なないろランガールズ』の提供元をCraft Eggからエイティングに2016年1月18日より移行へ”. Social Game Info (2015年12月23日). 2018年3月21日閲覧。

外部リンク

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