総理大臣杯・全日本大学サッカートーナメントで初の決勝進出を果たした新潟医療福祉大(北信越1)が、筑波大(関東5)との準決勝から一夜明けた13日、岩手・北上市で練習を行った。

PK戦まで戦った主力組は軽めの調整後、個人練習で汗を流した。プロ注目のDF細井響(3年)はセンターバック(CB)が主戦場ながら、今大会はアンカーに入り、チームの攻守を支えている。ここまで1得点を挙げている大型レフティーは、15日の阪南大(関西6)との決勝戦に向け、虎視眈々(たんたん)と準備を進める。

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「1位と2位じゃ全然違う。勝つことしか考えていない。早く試合がしたい」。細井は落ち着いた口調ながら、強い思いを言葉に乗せた。

182センチ、76キロ。その体を生かしたプレーで守備を支え、正確なロングフィードで攻撃の起点ともなるCBだが、今大会は中盤の底で出場を続ける。仙台大との1回戦(4日、3○2)では1-2の後半33分にペナルティーエリア外から左足で弾丸ミドルを突き刺した。筑波大との準決勝では次々とこぼれ球を回収し、パスをつないだ。佐熊裕和監督(60)は「あそこでフィルターになってくれることで守備が安定する」と信頼を置く。

守備の強さと左足のフィード力には、プロも熱視線を送る。既に3つのJクラブの練習に参加。15日の決勝にもスカウトが集まることが予想されるが「特別なことをするつもりはない。チームの全国初優勝のためにプレーする。結果、そこを見ていただけるクラブがあれば」と、目の前の試合に勝つことだけに集中する。

山なり、ストレート、低弾道を投げ分けるロングスローも大きな武器だ。「この大会に入って50本以上は投げていると思う」と笑うが、疲労は感じていないという。4日の1回戦から過密日程で進んだ大会もラスト1試合。「ここまで来たら勝ちたい気持ちがどっちが強いかの勝負。まずは守備を支え、チャンスがあればゴールを狙う。一番いい色のメダルを取る」と、力強く宣言した。【小林忠】

 

○…MF高足龍(3年)は、クイックネスを利かせたドリブルでチャンスを拡大させる。筑波大との準決勝でも積極的に前にボールを運び、相手守備のバランスを崩した。「らしさは少しだけ出せた。でも(ゴールを)仕留められなかった悔しさは残っている」。今大会は、ここまで全4試合で先発出場も無得点。中央でコンビを組むMF松本天夢(4年、J2長崎内定)は厳しいマークを受けながらも2得点をマークしており、「次は自分の番。ゴールで初優勝に貢献する」と力を込めた。サッカー人生初の全国優勝へ、必ずゴールネットを揺らしてみせる。