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量子技術

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

量子技術量子科学技術(りょうしぎじゅつ/りょうしかがくぎじゅつ、quantum technology)とは、量子力学の奇妙な性質を、情報処理などに用いる技術のこと[1]。特に量子もつれトンネル効果を、量子コンピューティング(計算)、量子暗号、量子シミュレーション、量子計測量子センシング(検出)、および量子イメージング(撮像)などの技術として実用に役立てる、物理学工学の新しい分野である。

概要

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量子技術の分野はen:Gerard J. Milburnの1997年の著作によって初めて概要が描かれた[2]。それに続いて、en:Jonathan P. Dowlingen:Gerard J. Milburnの2003年の記事[3][4]デイヴィッド・ドイッチュによる2003年の記事[5]によって構想が進められた。

この分野は、量子情報処理の分野、特に量子コンピューティングからの新しいアイデアの流入による恩恵を多大に受けている。量子光学原子光学量子エレクトロニクス量子ナノメカニカルデバイスのような量子力学の異なる領域は、量子情報理論の研究により共通言語が与えられ、量子コンピュータの研究の下に統一されてきている。

量子コンピュータ、量子通信、量子センシングなどは軍事技術としても重要である[6]

各国の状況

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各国の政府や研究機関、大学、企業により技術開発が行なわれている。

日本

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日本国政府は『量子未来社会ビジョン』を2022年に策定した[7]

量子技術の研究・活用に取り組む機関・団体

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スイス

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政府が2022年にスイス量子委員会(SQC)を設立するなど科学技術政策の重点分野としており、チューリッヒ工科大学などによる産学共同研究も盛んである[11]

脚注

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  1. ^ 量子科学技術 文部科学省(2023年12月25日閲覧)
  2. ^ Schrödinger's Machines, G.J.Milburn, W H Freeman & Co. (1997)
  3. ^ "Quantum Technology: The Second Quantum Revolution,"J.P.Dowling and G.J.Milburn, Phil. Trans. R. Soc. A 361, 3655 (2003)
  4. ^ "Quantum Technology: The Second Quantum Revolution," J.P.Dowling and G.J.Milburn, arXiv:quant-ph/0206091v1
  5. ^ "Physics, Philosophy, and Quantum Technology," D.Deutsch in the Proceedings of the Sixth International Conference on Quantum Communication, Measurement and Computing, Shapiro, J.H. and Hirota, O., Eds. (Rinton Press, Princeton, NJ. 2003)
  6. ^ 「量子技術」防衛省は及び腰 戦略検討も予算ゼロ 産経新聞ニュース(2022年2月19日)2023年12月25日閲覧
  7. ^ 内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局『量子未来社会ビジョン~量子技術により目指すべき未来社会ビジョンとその実現に向けた戦略~』(概要)2022年4月22日
  8. ^ 協議会について 量子技術による新産業創出協議会公式サイト(2023年12月25日閲覧)
  9. ^ 日本大学量子科学研究所 公式サイト(2024年4月17日閲覧)
  10. ^ 玉川大学量子情報科学研究所 公式サイト(2024年4月17日閲覧)
  11. ^ [深層断面]スイス、量子技術で存在感日刊工業新聞』2023年12月4日28面

外部リンク

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