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ハネジネズミ目

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ハネジネズミ目
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
亜綱 : 獣亜綱 Theria
下綱 : 真獣下綱 Eutheria
上目 : アフリカ獣上目 Afrotheria
: ハネジネズミ目 Macroscelidea
: ハネジネズミ科 Macroscelididae
学名
Macroscelidea Butler, 1956[1]
Macroscelididae Bonaparte, 1838[1]
和名
ハネジネズミ目[2]
ハネジネズミ科[2]

ハネジネズミ目(ハネジネズミもく、Macroscelidea)は、哺乳綱に分類される目。別名長脚目マクロスケリデス目[3]

分布

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アフリカ大陸北部・南部・中部・東部[4]

アルジェリアハネジネズミのみ、アルジェリアとモロッコ(アフリカ大陸北部)に隔離分布する[5]

形態

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最大種はコシキハネジネズミで頭胴長(体長)27 - 29.5センチメートル、尾長23 - 25.5センチメートル[5]。最小種はMacroscelides micusで全長17 - 19.5センチメートル、尾長8.3 - 9.7センチメートル[6]

分類

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コシキハネジネズミR. chrysopygus

R. cirnei

R. stuhlmanni

R. petersi

R. udzungwensis

ヒガシイワハネジネズミE. myurus

E. edwardii

E. pilicaudus

ヤブハネジネズミE. intufi

ニシイワハネジネズミE. rupestris

コバナハネジネズミE. brachyrhynchus

アカハネジネズミE. rufescens

M. micus

M. flavicaudatus

M. proboscideus

ソマリハネジネズミElephantulus revoili

ヨツユビハネジネズミPetrodromus tetradactylus

アルジェリアハネジネズミPetrosaltator rozeti

Heritage et al.,(2020)より、核DNA2遺伝子座およびミトコンドリアDNA4遺伝子座をベイズ法によって推定した系統図[7]

以前は食虫目などに分類されることもあった[4][5]。眼が大型であること・耳が発達すること・盲腸があること・指行性であること・幼獣は開眼した状態で産まれることなどの違いから、独立した目とされるようになった[8]

2008年に形態や分子系統解析から、旧ケープハネジネズミを分割しElephantulus pilicaudusが新種記載された[9]。2012年に旧コミミハネジネズミMacroscelides proboscideusの亜種を、独立種とする説が提唱された。2014年に形態と分子系統解析から、M. micusが新種記載された[6]。2016年にアルジェリアハネジネズミのみで新属Petrosaltatorを構成する説が提唱された。ソマリア北部にのみ分布するとされ、1970年代以降は発見例のなかったソマリハネジネズミが2019年にジブチで再発見された[7]。再発見に伴い形態や分子系統解析から、2020年にソマリハネジネズミのみで新属Galegeeskaを構成する説が提唱された[7]

以下の分類・英名は、分類に変更や付記のないかぎりShilitter (2005) に従う[1]。和名は分類に変更のないかぎり、川田ら (2018) に従う[2]

一部の学者は系統が遠い事が判明したトガリネズミとの混同を避け、センギ (sengi) と呼んでいる[11]

生態

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森林から砂漠など様々な環境に生息するが、主にサバンナや藪地に生息する[5]。臭い付け(マーキング)を行い、縄張りを主張する[4]。種によっては後肢や尾で地面を叩き、音をあげる種もいる[4]。縄張り内に通路を形成し、捕食者から逃げる際に妨げとならないように障害物を片づける種もいる[4]。地面に掘った巣穴や岩の割れ目・齧歯類の古巣などを巣にする種もいるが、巣を作らない種もいる[4]

無脊椎動物を食べる種が多いが、小型種は果実や種子などの植物質も食べる[4]

周年繁殖する種が多い[4]。主に1 - 2頭の幼獣を産む[4]

出典

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  1. ^ a b c Duane A. Shilitter, "Order Macroscelidea," Mammal Species of the World, (3rd ed.), Volume 1, Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (ed.), Johns Hopkins University Press, 2005, Pages 82 - 85.
  2. ^ a b c 川田伸一郎他 「世界哺乳類標準和名目録」『哺乳類科学』第58巻 別冊、日本哺乳類学会、2018年、1 - 53頁。
  3. ^ 遠藤秀紀, 佐々木基樹 「哺乳類分類における高次群の和名について」『日本野生動物医学会誌』6巻 2号、2001年、45 - 53頁。
  4. ^ a b c d e f g h i Galen B. Rathbun 「ハネジネズミ目」今泉吉晴訳『動物大百科 5 小型草食獣』今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編、平凡社1986年、148 - 150頁。
  5. ^ a b c d 川道武男 「系統不明な昆虫食者 ハネジネズミ目」『動物たちの地球 哺乳類II 5 ゾウ・サイ・シマウマほか』第9巻 53号、朝日新聞社、1992年、84 - 85頁。
  6. ^ a b c John P. Dumbacher et al., "A new species of round-eared sengi (genus Macroscelides) from Namibia," Journal of Mammalogy, Volume 95, Issue 3, 2014, Pages 443 - 454.
  7. ^ a b c d Steven Heritage et al., "New records of a lost species and a geographic range expansion for sengis in the Horn of Africa," PeerJ, Volume 8, 2020.
  8. ^ 阿部永 「ケープハネジネズミ」など『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ1 ユーラシア、北アメリカ』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社、2000年、177 - 178頁。
  9. ^ a b H. A. Smit et al., "A New Species of Elephant-Shrew (Afrotheria: Macroscelidea: Elephantulus) from South Africa," Journal of Mammalogy, Volume 89, Issue 5, 2008, Pages 1257 - 1269.
  10. ^ F. Rovero, G. B. Rathbun, A. Perkin, T. Jones, D. O. Ribble, C. Leonard, R. R. Mwakisoma & N. Doggart, “A new species of giant sengi or elephant-shrew (genus Rhynchocyon) highlights the exceptional biodiversity of the Udzungwa Mountains of Tanzania,” Journal of Zoology, Volume 274, Issue 2, Zoological Society of London, 2008, Pages 126-133.
  11. ^ リチャード・ドーキンス 著、垂水雄二 訳 『祖先の物語(上)』 320頁

関連項目

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